VPKで撮ってみた

     

 

シャッタースピードは単速

VPKはシャッタースピードの選択ができますが、1/25秒、1/50秒、B(bulb)、T(time)の4通りしかありません。通常撮影に使えるのは1/25秒と1/50秒だけで、敢えて1/25を使う必要もないでしょう。「シャッタースピードは1/50秒の単速」と考えてよいです。手持ちで撮影できるぎりぎりのシャッタースピードです。

「シャッタースピードが足りないのでは?」とお考えの方、VPKのレンズはF11程度の明るさしかなく、VPKが発売された当時のフィルム感度はISO10以下でした。(100以下の間違いではありません。)カンカン照りの下でシャッタースピード1/50秒で何とか撮影ができるといった状況。高速シャッターなど必要なかったのです。

         
     
 

レンズ上部のレバーでシャッタースピードを選択します。左から1/25秒、B(bulb)、T(time)、1/50秒です。

 

 
         

絞り表示は1,2,3,4

VPKの絞り表示は1,2,3,4で、いわゆるF値ではありません。1が開放で、数字が大きくなるほど絞られます。F値に換算すれば1がF11程度、4が F32程度と考えて下さい。(VPKのバージョンにより絞り表示が多少変わります。)とても暗いレンズです。

       
     
 

レンズ下部のレバーで絞りを調節します。絞り表示1,2,3,4には

1 NEARVIEW PORTRAIT
2 AVERAGE VIEW
3 DISTANT VIEW
4 CLOUDS MARINE

と付記されています。このガイドに従って絞りを調節していたのですから、大らかな時代だったのです。

 

 
         

レリーズはただ押すだけ

フロントパネルの内側にレリーズレバーがあります。これを押し下げてシャッターを作動させます。フィルムの巻き上げ動作には連動しておらず押し下げれば何度でもシャッターが切れます。注意しないと多重露出を繰り返すことになります。

         
     
 

押し下げの力を利用してシャッターを作動させるので、いわゆる「シャッターチャージ」の必要はありません。

 
         

ピントは固定

VPKにピント調節機能はありません。通常は4~5メートルの位置に合わせてあり、被写体に近付きすぎるとピンボケとなります。クローズアップを撮るためにはポートレートアダプタというものが用意されていましたが、実際に使った人は殆どいなかったでしょう。寄って撮るようなカメラではないのです。

 

純正ポートレートアダプタ、いわゆるクローズアップレンズです。
(英のVPKコレクタ、Graham White氏に頂きました。)

 

 

ストロボのない「写ルンです」

VPKの性能が何に近いかと言えば「写ルンです」です。シャッタースピードもレンズの明るさも似たようなもの。ピントが固定なのも同じです。写ルンですは100年後の製品なのですべての要素が研ぎ澄まされていることは言うまでもありません。ストロボが付いているので暗いところでも撮れますし、何より高画質・高感度のカラーフィルムが装填されているので実に立派な写真が撮れます。

今の目で見ればVPKは写ルンですに遠く及ばない低性能なカメラです。しかしこれが史上初のスナップカメラであったと考えれば見る目は全く変わります。写ルンですもカメラ史上のエポックですが、VPKはそれどころではないエポック中のエポックです。VPKは写真というもののあり方そのものを変えたのです。

 

 

 

     

 

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