VPKで撮ってみた

     

 

 

たまには寄り道をしよう

安原製作所はMOMOというレンズを開発していますが、これはベス単というレンズの写りを手軽に楽しめるようにすることを目的にしています。ベス単が取り付けられているVest Pocket Kodak(VPK) というカメラ本体について調べる必要はあまりありません。しかし何十台ものVPKを集めて調査しているとやはり愛着がわいてきます。ここは一つVPKを使って撮ってみようということになりました。

 

フィルムはあるのか?

VPKは100年前の骨董品なので、今これを使って写真を撮るのは大変な苦労です。何よりも使用するフィルム(127ロールフィルム)が製造されていません。

127フィルムはVPKのためにコダックによって作られた規格です。そのコダックは1995年に製造を中止しています。(逆に言えば20世紀後半まではその気になればVPKで写真を撮ることはできたのです。)その後もマイナーなフィルムメーカーが細々と127フィルムの生産を続けていたのですが、2013年頃にすべての生産が止まった模様。安原製作所には127フィルムの買い置きがあったので、フィルム調達の問題はとりあえずクリアできました。

ちなみに2015年8月現在安原製作所は数十本の白黒フィルムと数本のカラーフィルムが残っています。白黒フィルムの大部分が今年推奨使用期限を迎えました。カラーフィルムの方はとっくに期限切れです。最後は有志に渡してぱーっと使ってしまおうと思っています。

 

クロアチアのefke、最後まで生き残った120フィルムの一つです。

 

VPKを調達する

大正時代の製品であるにも関わらずVPKは中古市場に多数流通しています。当時どれほどの大量生産が行われたかがしのばれます。ただ、実際に写真が撮れるコンディションのものはそう簡単に見つかりません。

         
     
  今回の試写で使った機体  
       
     
 

4台ほどのVPKから良い部品を組み合わせて作っています。VPKに詳しい人なら色々な世代の部品が組み合わされていることがすぐわかります。

VPKは15年の長きにわたり製造されました。途中何度もマイナーチェンジしていますが、部品の互換性は高いのでこのように組み合わせることができるのです。

 
         

VPKは蛇腹式のカメラです。初期型の蛇腹は革製で耐久性がありましたが、数年後に紙ベースの素材に変更されました。これは100年保つような材質ではなく現在ではぼろぼろでとても使い物になりません。状態の良い初期型蛇腹を探すことが一番のポイントになります。

シャッターが作動することも必要です。これはシンプルな構造故に100年経った今でも動くものが多くあり、調子の良いものを選んで利用すれば良いです。

後は組立加工ですが、そこは安原製作所はカメラメーカーです。複数のVPKから撮影可能な機体を仕上げることができました。

 

フィルム装填

127フィルムは軸(スプール)に裏紙(遮光の役割をする紙)と重ねて巻いてあります。120フィルム(中判)を使ったことがある方は良くわかると思います。127フィルムは120フィルムの小型版と考えて間違いありません。

     
 
       
     
    裏紙の先を空きスプールに差し込みます。そうです、最初はフィルムに付いているスプールの他にもう一つ空きスプールが必要なのです。撮影後はフィルム側のスプールが空きスプールになるので、それを次回のフィルム装填に使えば良いのです。
       
     
    空スプールに巻き付けていきます。巻き癖通りの素直な巻き方向でOKです。
       
     
    このぐらい巻けば良いでしょう。
       
     
    カメラ側面の蓋を外しフィルムを挿入します。
       
     
    フィルムがたるまないようスプールを押さえながら作業をします。
       
     
    底まで入りました。レンジファインダーライカのようにフィルムを横から差し込む方法ですが、複雑な圧板構造がないのですんなりと入ります。
       
     
    蓋を取り付けます。(蓋はこのように本体から完全に外れるのです。)
       
     
    スライドレバーを操作して蓋をロックします。右側のノブを反時計方向に回してフィルムを巻き上げます。
       
     
   

カメラの背面には赤いフィルム確認窓があり、裏紙(遮光の役割をする紙)を見ることができます。この窓に「1」」が見えたら撮影準備完了です。窓に現れる数字は上下逆になります。

VPKは1本の127フィルムで8枚撮ることができます。

       
 
     

 

● 撮影ワンポイントアドバイス

フィルム確認窓が赤いのは、昔のフィルム(オルソという種類の白黒フィルム)は赤に感光しなかったからです。ところが現代のフィルム(白黒・カラー共)はすべての色に感光してしまいますので、窓を赤くしたところで大した意味はありません。

また、VPKが生まれた当時フィルムの感度はISO10以下でした。(ISO100以下の間違いではありません。10以下です。)現代の高感度フィルムではカメラにこんな窓があれば裏紙で光を止めきることができずフィルムが感光してしまいます。

よって現代でVPKを使う時は、フィルムの確認は強い光を避けて行い、確認後は黒テープ等で確認窓を塞いでおくことが必要です。撮らない時はカメラ全体を光を遮るバッグに入れておくことも重要です。

・・・・・・まあこのアドバイスを実行する人はもういないと思いますが。

 

 

     

 

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